講座情報

第3期 第4回 犬・猫は家族、牛・鶏・豚は食べ物? – 畜産業界とペット業界の現実

2021年1月19日

講師:瀬川 浩 / 瀬川 綾子
北海道食の自給ネットワーク「あにふく」プロジェクトメンバー

・私たちは畜産・伴侶動物とは無関係の企業に勤める会社員。しかし、動物たちの命のある限りは幸せな一生を送ってほしい、そのことに貢献したいと思ってきた。

・犬猫の国内飼育数は微減ながら、ペット市場の規模は拡大している。殺処分は、過去10年間で24万頭減少した(猫の減少割合が高い)。市場で売れ残った犬猫は「引き取り屋」に流れる。店頭に並ぶまでの流通中に死亡する犬猫は2.6万頭(18年度の数値)に上る。

・2019年の動物愛護管理法の改正で、伴侶動物(ペット)の頭数規制や飼育・運動スペースのサイズ規定、繁殖制限の義務化などが盛り込まれた。同法には、牛や豚、鶏などの畜産動物も含まれる。(家畜に対する)意図的な虐待やネグレクトは規制の対象になる。

・「かわいい(ペット)」「おいしそう・便利(畜産動物)」に目が向き、飼育環境の過酷さに目がいかない実態がある。我々消費者は、そうした背景を知らずに、“便利であることが当たり前”を求めすぎるのではないか。ペットも畜産動物も、抱える問題の根っこは同じ。「便利さの背景を知らない」「知らずに便利さを求める」「根っこを知っても別の選択肢が少ない」という問題がある。

・消費者の8割がアニマルウェルフェアを知らない。店頭に並ぶ商品の向こう側を知ることが大切。私たちの消費(買い物)が動物虐待や環境破壊、劣悪な労働環境につながる可能性もある。一人ひとりができることは「エシカル(倫理的な)消費」だ。

・「かわいい」「おいしい」「便利」の裏側には、「酷使」や「過密」などがある。遠回りでも、次のことを段階的に進めていくしかない。
① 「かわいいね」「便利だね」が、どのように提供されているかを知ること(子どもには教育を、大人には情報の共有を)
② 消費者がサービスや低価格を求めすぎない
③ 飼育の背景を知った消費者が選択できる社会を創る
④ アニマルウェルフェアや動物愛護が実現された社会を